今更言うまでもない「バクマン。」のネームの話

 バクマンの単行本にネームが載ってるのを「編集部がネットの噂に乗っかっただけ」とか言ってる人がいるようですね。この漫画に大場・小畑両者のネームが掲載されたのはそんな馬鹿みたいな理由ではありません。もっときちんとした意図があります。
 この漫画は「二人の少年が原作と作画を分担して漫画を作る」話です。そして、この漫画は現実的には「原作:大場つぐみ、作画:小畑健」の二名で執筆されている。つまり作中の彼らと全く同じスタイルなわけです。ですから、大場と小畑のネームを掲載することで、「サイコーとシュージンはどういう風に漫画を書いているのか」が現実的な実感として読者に伝わります。そしてその試みは、ジャンプシステムを詳しく解説したり実際の編集者を登場させたりして「現実との地続き感」を演出している本作の内容とも合致する。
 現実のネームを載せたのは単なる話題作りではなくて、作品を外部から補強するための効果的な仕掛けの一つなのです。とにかく漫画の面白さが第一という姿勢が見て取れますね。
 まあ、表紙のアレは明らかにアソビなんですけれども。