あかほりさとる/桂遊生丸『かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜 (1)』

 弱虫の少年はずむは、とある事情によりある日突然女の子に生まれ変わってしまった! 女の子になってしまったことで、初恋の人やす菜や幼馴染のとまりとの関係も次第に変化してゆく……

 いやこれおかしいよ。絶対おかしいって。


 方々で良い評判を聞く作品だったので試しにと買ってみたのですが……。断言してしまいましょう。この漫画、間違いなくトンデモです。
 カバー裏のあらすじにも書いてある(ゆえに見ないほうが良いと思われます)、はずむが女の子になってしまった理由というのが、まあなんというかかんというか……。ただ主人公を男から女に変化させたい、という目的のためのみにここまで壮大な設定を持ち込むのか、と(違う意味で)感動しました。これは是非前情報なしに読んで、僕と同じ衝撃をみなさんにも味わっていただきたいです。
 そういったありえない設定の上で、中心に描かれるのがはずむたち三人の繊細な心の動きだったりするところがまた奇妙。この点を見てもやっぱり上記の設定は男→女の変換のためのみに用いられているということがわかります(もちろん今後どのように話が進んでいくかはわからないのですが)。さすがという他ないのでしょうか。
 あまりに壮大すぎてほとんどギャグになっている設定と、少女漫画にも似た細かな心理描写のギャップが違和感となり、脳を揺さぶるような奇妙な読後感を残す、そんな漫画だと思います。ヘンな漫画が読みたい人は是非。