『コミック星新一 午後の恐竜』

コミック☆星新一午後の恐竜

コミック☆星新一午後の恐竜

 星新一ショートショートがコミックになった。計9人の漫画家たちによるコミカライズで、あの傑作はどう生まれ変わるのか。

 そりゃあおもしろいよね、という感覚。
 もともとが星新一のすばらしいショートショートなわけで、プロットさえしっかりしていればよほどのことがない限り普通には楽しめますよ、ということを証明した一冊でしょう。もちろんどの漫画家も工夫してはいるのですが、どうしてもストーリーの強さが先にたってしまいます。これは相手が悪い。
 その中にあって志村貴子だけは流石の技術力で別格。わずか8ページ(扉を除けば7ページ)という短さで、原作を構成する要素を全て含め、なおかつ独自色も濃いというすさまじいことをやってのけています。収録された全編で一番短いにもかかわらず、印象度は圧倒的に一番。個性の強い人は得ですね。