500文字の心臓「スクリーン・ヒーロー」結果発表

 自作は○3△2×1という予想外の健闘ぶり。しかも評をくださったのが、sleepdog五十嵐彪太松本楽志ハカウチマリその他超短編界を代表する方々だったことがますます嬉しい。
 選評にも書いたけど、正選王の作品は個人的にはあまり面白くない。いや描かれている情景は面白いのだが、文章のリズムが悪いと思う。やっぱり短いとリズム合わないだけでもう読めなくなってしまう。あと「スクリーンヒーローに会いたいな」という台詞の不自然さがどうしても許せなかった。風呂でテレビ見て「スクリーンヒーロー」という単語はまず出てこない。そういう世界観なら良いけど、この作品は日常が一瞬で非日常へと転ずる妙が面白いのだから、前半部分はとことんリアルに徹するべきだったと思う。
 という感想をここに書けば、自分の考える超短編のスタンスを伝える一端になるのではないかというテスト。もっと全てを論理的に構築したいといつも考えてはいるのだが。
 自作についてははやかつさんの「場面としては魅力的だが超短編としては微妙」という評価がたいへん妥当。超短編に必要だと勝手に思っている「そこで文章が終了する必然性」に乏しいと感じていた。超短編は一個の作品なのだから、世界の広がりは備えつつも、「ああ確かにここで終わるべきだ」と読者に感じさせなければならないと思っていて、今回の作品はその条件を満たしていない。だから自己評価はそんなに高くない。これよりは黒い羊のほうが好きだ。しかし自己評価と周囲の評価は一致しない不思議。
 で、実はこの作品の長編化を考えている。最近なんとなくSFが書きたくなっているのだった。4月締切の電撃大賞に送るつもり。

スクリーン・ヒーロー

 歪んだギターの音に追い立てられるように僕は歩を早める。この町に延々と鳴り響くギターをママは「これは精神安定剤なのよ」と例えた。授業でも同じことを習うし友達も特に気にしていないから、本当のことなのだろう。だとすれば、僕はこの町にいらない存在に違いない。
 丘の上ではほんの少しだけ音が遠のく。僕は町を眺める。遙か向こうに在りながら圧倒的な存在感を備えているのは、一山ほどに巨大な、白いスピーカー。思わず目をそらして上を見ると黒い鳥が飛んでいる。おそらく鴉だろうと僕は見当をつける。
 あれは、僕だ。
 いつか僕は黒い翼を広げ、冷えた空を一直線に滑空してスピーカーを破壊する。


 家に帰って僕はすぐにテレビの電源を入れる。目的は十三チャンネル。切り替えた瞬間、流れ出した「無音」がギターの音を完全に打ち消す。一日五分間だけ、この映像は視聴を許可されている。そして僕はつかの間の安定を手に入れる。
 画面には一羽の鴉が写っている。闇の色をした孤独な鳥は、雄大な自然の中、真剣な瞳で清んだ大空を美しく滑空している。

パワーポイントを用いた発表の個人的注意点

・とにかく図で説明する。
 よく文章だけ書いて説明する人がいるけれど、わかりにくい。折角図を作る機能があるのだから、どんなことでも極力図を使って説明すべき。例えば計算式を出すにしても、この項は何を意味しているのかといった説明はイメージで理解させた方が伝わる。


・文章は少なく短く。
 上の話とも通じるが、べたっと大量の文章が貼られたようなパワポは受け手の理解を阻む。自分も過去一度やって痛い目にあった。視聴者は長い文章なんか全然読んでくれないと理解すべき。本当に文章が必要な所だけに挿入してあとは口で説明した方が良い。


・アニメーションは必要以上に使わない。
 パワポは手軽にアニメーションが出来ることもあって、無駄なアニメーションをくっつけるようなパワポが散見される。正直鬱陶しい。アニメーションをつけるのなら何か相応の意図がなければ駄目だろう。単に画像を表示すれば良いだけのことに何故フェードインなど使うのか。
 ちなみにここで言うアニメーションとはフェードインとかスライドインとかそういった演出効果の話であって、クリックするごとに順番に表示されるような演出は流れを掴みやすいので自分はかなり使う。一枚のパワポで10回クリックなんてざらだったりする(これもまあ善し悪し)。


・専門用語はなるべく使わない。
 聴衆の面子にもよるが、自分の研究でしか使用しないような専門的用語は、もっと一般に伝わるような言葉に変換して使う。どうしても使いたいなら一言説明を加えてから使う。発表は、一つ伝わらないことがあると芋づる式に全部伝わらなくなってしまう。危険因子はなるべく取り除くべき。


・一つの大きなストーリーに乗せる。
 例え最終的に一つの提案にまとまるとしても、一見全く関係ないように見える話をいきなり持ち出してしまうと、流れが途切れてしまい視聴者を戸惑わせることになる。全体で一つの流れ・ストーリーを作り、それに各要素を乗せていく形で説明を行うのが自然でスムーズな発表と言える。


・語る文章は極力アドリブで。
 説明手順を全て頭に叩き込んでおくのはあたりまえだが、説明文章は覚えておく必要はない。むしろ覚えて丸々それをしゃべるのは良くない。「ここでこの内容を話す」という構成だけ守って、あとはアドリブで語る方が自然でわかりやすい発表になる。


・発表練習は必ずやる。
 人間が一人で出来ることなど限りがある。どれだけ客観的にわかりやすく作ったと思っていても他人が見れば穴は存在する。まずは本番前に何人かに発表を見てもらって、そこで指摘された内容を反映させることがクオリティアップに繋がる。また、実際に時間を計って発表することでどの部分に時間をかけて良いかの判断も出来る。


・発表は堂々と。
 自信がないような態度の発表など誰も聴いてくれない。ハッタリでも良いから、「この発表内容には大きな有用性がある」という自信に満ちあふれているような堂々とした発表を行えば聴衆の印象は良くなる。声も通常より数割増で大きくした方が伝わりやすい。


・極力聴衆の方を向いて発表する。
 パワポの画面ばかり見て発表していると印象が悪い。この人は自分の提案も満足に理解していないのではないかと思われてしまう。また、受け手の反応を見ながら発表をすることで、どの部分のウケが良いのかを把握することが出来る。