ミドリ「shinsekai」

shinsekai

shinsekai

 最初に1周したときは何かすごいものが鳴っていたような気がしつつも戸惑いがあったのだけれど、聴き続ける内に馴染んで、これは傑作だと納得した。明らかに今までとは変わったけれど、これは疑いようもなく進化/深化だ。

 アレンジにこりまくった面白い曲「メカ」、ポジティブにテンションが高い「あたし、ギターになっちゃった!!!!!」、そして後藤まりこのグチャグチャな暴力性と乙女的純真さが深いところで結合した「鉄塔の上の2人」。何よりポップであることがすばらしい。だって、ミドリがポップなんだよ!

 バンドとして聴くと、リズム隊が上手すぎてどうしようという感じ。馬鹿みたいにどっしりした土台の上で、ピアノとギターとボーカルが踊り狂っている。妙に耳に残る。中毒性がめちゃくちゃ高い。40分もない短さも手伝って、ぐるぐると聴き続けてしまう。で、イヤホン外しても鳴り続ける。また聴くと、前より更に良くなっている。

 CDはそれなりに売れ、ライブの規模も拡大し、DVDまで発売して、バンドとしては順調に歩を進めているように見えるミドリの待望の新譜、そのラストで後藤まりこは「今がどんぞこなんや!」と叫びまくる。たぶん、それこそが真実なんだ。