伊藤黒介「ベルとふたりで」

ベルとふたりで 1巻(バンブーコミックス)

ベルとふたりで 1巻(バンブーコミックス)

 こりゃ新人じゃねえな。単に初めて世に出たってだけでおそらくもう何年も書き続けているんだろう。もはや玄人の風格のある安定感と、完全に確立された独自の世界。何でこのキャラと構成要素でこんな下町っぽい雰囲気になるんだろうか。
 ボンクラ小学生すずとふてぶてしいデカ犬ベルのふたり(一人と一匹ではなくてふたりが正解)を中心とした日常模様。あからさまに犬からはみ出た行動をとっていながら、それでもやたら犬っぽいベルのリアリティ。作者は実際に犬を飼っているのだろうか。時たま破天荒なギャグを描きながらもこの世界ならありえると思わされるような現実感が常にある。浮き足立たない。そのバランス感覚の凄み。
 今年読んだ4コマではベスト3に入るか。まあ堅苦しいところはなくてユーモラスで笑える4コマなので誰にでも全力でおすすめ。家族でどうぞ。