cosMo×真優「少女の空想庭園+」
- アーティスト: cosMo ×真優
- 出版社/メーカー: ハッチ・エンタテインメント
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: CD
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cosMoはryoのように広く一般に受け入れられるようなタイプではない。数は多くはないが熱狂的なファンを獲得するタイプだと思う。まずは試聴して(http://chemsys.web.fc2.com/)、少しでもピンと来る所があるのならば購入して聴いて欲しい。もしかしたら希有で衝撃的で身震いのする体験を得られるかもしれない。その可能性がこのアルバムにはある。俺はラスト泣いたよ。
以下、本作とボーカロイド文化についての雑感(若干余談)。
自分はボーカロイド使用曲がかなり好きで、ニコニコでも聴くしCDも良く買う。だからcosMoの同人販売された前アルバム二作ももちろん購入した。二桁以上はリピートして聴いた。ボカロCDの中でも突出した音楽センスを持つ凄いアルバムだったと思う。その上であえて言うが、人間ボーカルやばいわ。
今年聴いたCDで一番の衝撃だった。ただ良い曲ばかりで大好きだというだけなら震えたりはしない。やっぱり、人間が歌うだけでこんなにも違うのか、という驚きが大きい。感情がすごく良く伝わるんだ。音楽の向こうにいるのが、人だから。抱えた思いを歌唱に込めることが出来る人間だから。
人間が歌ったことでようやく「歌」として完成されたという印象。
最初cosMoが一般流通で人間ボーカルのCDを出すと聴いたとき、「何故この人が?」と思った。誰かがいつかはやるだろうと思ってたけれど、それがcosMoである理由がわからなかった。彼はまさしくボーカロイドが存在したからこそ作成できた曲を作り続けてきた人だという印象を自分は持っていた。
しかしよく考えてみれば、そういう人だからこそ躊躇無く人間ボーカルを採用できたのかもしれない。これは自分の妄想だが、ボーカロイドにしか出来ない曲=ボーカロイドをソフトシンセとして使用することでしか作り得ない曲、ということであるならば、ボーカロイドをソフトシンセであると誰よりも強く認識しているのであれば、ボーカロイドは人間に勝てないということも良くわかっているのではないか。
もちろん明らかに人間に不適な曲は収録されてはいない。ここに収録された「歌」は全て、人間が歌うことでより魅力の伝わる歌であると自分は断定する。断定できる。それくらいの力のあるアルバムだった。 (もちろんミク版にはミク版の良さがある。「月明・昂揚・乱舞」あたりは高いキーの安定感などがミクに適している)
ボーカロイドに人間の代替物以上の価値を積極的に認めることのできないまま滞りかけてしまっている(大変残念な)現状のブレイクスルーとなるであろう(なってほしい)、ボカロ文化にとって最重要のアルバム。ボカロファンは必聴。