新年早々に昨年の漫画で印象的なものを挙げてみる。

 あけましておめでとうございます。本年も更新はあまり多くないと思いますが、よろしくお願いいたします。


 さて、漫画です。
 昨年発売された漫画の中で、特に印象的だったものを挙げたいと思います。



鈴城芹家族ゲーム 3,4」

家族ゲーム 3 (電撃コミックス EX 4コマコレクション)

家族ゲーム 3 (電撃コミックス EX 4コマコレクション)

 きららで「看板娘はさしおさえ」を連載してますが、そっちはそんなに好きでもないのにこっちがめちゃくちゃ好きなのは間違いなくラブコメだから。ゆっくり淡々と、しかし確実に進展していく人間関係から目が離せません。今最も続きが気になる4コマ。


☆TONO「チキタ★GUGU 8(完)」

チキタ★GUGU 8 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

チキタ★GUGU 8 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

 完結! オールタイムベストの2番目であろう作品なので感慨深いのです。ニッケルの話がピークだったなー。あれほどの衝撃と感動は滅多にあるものではないと思います。ところで「カルバニア物語」の続きはまだですか?


海藍トリコロ 1 MW−1056」

トリコロMWー1056 1 (電撃コミックス EX 113-2)

トリコロMWー1056 1 (電撃コミックス EX 113-2)

 復活しました。本編よりもむしろ初回特典でついてきた別冊の方が印象的です。これまでに書いた海藍の4コマが全部読めるなんて、良い時代になりました。ママトラは噂通り面白かった。あと今の絵で過去キャラを描いたイラストがいちいちエロいのも良かったです。


北村游児「美少女いんばら! 1」

美少女いんぱら! 1 (ジャンプコミックス デラックス)

美少女いんぱら! 1 (ジャンプコミックス デラックス)

 新しい4コマでは一番面白かったかな。アッチにイッちゃったキャラ達のドタバタギャグが愉快爽快。雌犬志望の伊勢谷さんはインパクトありました。


とよ田みのる「FRIP FLAP」

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

 俺は音ゲー好きなんですよ。音楽に合わせて夢中で手を動かしていると、ある瞬間に周りがふっと消え失せて心地良い世界へ飛ぶんです。そこには自分と音楽とボタンしか存在しない。そういう世界を、ヌルゲーマーの自分ですら見たことがある。
 この作品はピンボールが題材ではありますが、本質的には同じです。つまり、俺たちがゲームをするのは、そういうことなんです。「無駄」なゲームを楽しむ全てのゲーマーに送る傑作。昨年で一つ選ぶならこれです。


若木民喜神のみぞ知るセカイ 1,2」

神のみぞ知るセカイ 1 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 1 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 2 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 2 (少年サンデーコミックス)

 これが少年漫画のフォーマットで登場したことを喜ぶべきか憂うべきか。主人公の完全に現実を切り捨てたキャラクターに、エロゲー理論+少年誌的ラブコメという構造。斬新にも程があります。絵がものすごく可愛いのも大きい。あと名言が多すぎて困りものですね。さあみんなで叫びましょう。「現実(リアル)なんてクソゲーだ!」


秋★枝純真ミラクル100% 1」

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

 昨年の新人賞! これだけ鮮烈でハッとする心理描写が連続する漫画って読んだことありませんでしたよ。よしながふみみたいに読者に推測させるのとも違うしなあ。とにかくセリフがもうすごすぎて。全く予想外の言葉なのに、まさにそれであるしかないという適切さできちっと嵌っている。びっくりしました。
 先が読めないのも良い点。人間関係がもつれるだけもつれて、しかもどうやらまだもつれそうであり、これ収集つくわけないバッドエンドしか考えられない、という今の流れをどう変化させていくのか。
 萌えっぽい絵(といっても微妙に流行から外れてると思うけれど)に騙されていると損です。数年後には第一線の作家になっているでしょう。


あずまきよひこよつばと! 8」

よつばと! 8 (電撃コミックス)

よつばと! 8 (電撃コミックス)

 昨年も絶好調でした。この安定感はどうしたことか。よつばとが始まってから今日、一番面白い漫画はずっとよつばとのままなのではないでしょうか。おかえれー!


葉鳥ビスコ桜蘭高校ホスト部 13」

桜蘭高校ホスト部 第13巻 (花とゆめCOMICS)

桜蘭高校ホスト部 第13巻 (花とゆめCOMICS)

 この巻はかなり激動で、今まで散々引っ張るだけ引っ張った展開がようやく。きたきたきたー! とテンション上がる上がる。悶え転げる転げる。早く次出してください。


施川ユウキもずく、ウォーキング! 3(完)」
施川ユウキサナギさん 6(完)」

もずく、ウォーキング! 3 (ヤングチャンピオンコミックス)

もずく、ウォーキング! 3 (ヤングチャンピオンコミックス)

サナギさん 6 (少年チャンピオン・コミックス)

サナギさん 6 (少年チャンピオン・コミックス)

 あー、完結……。多大な喪失感を感じざるを得ません。言葉のセンスで笑わせる系の漫画を書かせたら今右に出る人はいませんよね。特にもずくは、ある種よつばとに通じるような驚きすらあって、本当にこの人は多才です。参ります。


荒井チェリー三者三葉 6」

三者三葉 (6) (まんがタイムKRコミックス)

三者三葉 (6) (まんがタイムKRコミックス)

 荒井チェリー大活躍の一年でしたが、やっぱり新作よりもキャラがこなれた本作の方が面白いのは仕方ないところでしょうか。この人の4コマは好きすぎて正常な評価が出来ている自信がありません。その上で言いますが、「けいおん!」アニメ化するならまずこっちだろうJK。


島袋光年「トリコ 1,2」

トリコ 1 (ジャンプコミックス)

トリコ 1 (ジャンプコミックス)

トリコ 2 (ジャンプコミックス)

トリコ 2 (ジャンプコミックス)

 間違いなく昨年最も輝いたであろう清く正しい少年漫画。本物の王道とはこういうものを言うのだと思い知りました。この人こんなに漫画上手かったんですね。知りませんでした。全体に漂う「圧倒感」が出色。


漆原友紀蟲師 10(巻)」

蟲師(10) (アフタヌーンKC)

蟲師(10) (アフタヌーンKC)

 うわー。これも完結とか勘弁してください。しかし最終話はちゃんと最終話らしかったし、書きたいことは書ききったんだなと思えたのが救いです。まだまだ続けられるのだろうけれど、それはそれとして一つの区切り。ゆっくり休んで、また漫画書いてください。


☆異識「あっちこっち 2」

あっちこっち (2) (まんがタイムKRコミックス)

あっちこっち (2) (まんがタイムKRコミックス)

 きらら系4コマではこれが一番好きでした。きららでは定番の学園日常コメディ、に見えて実は違う。いや違わないですが、そこに流れる雰囲気があまりに独特なので手触りが異なります。このセンスは誰にも真似できないでしょう。絵とキャラと台詞回しと特徴的な擬音などが全て「読者を悶えさせる」という一つの方向で分離不可能なまでに一体化していて、ああ理想的だなあと思うのです。破壊力強大。


阿部川キネコ辣韮の皮 6」

辣韮の皮―萌えろ!杜の宮高校漫画研究部(6) (Gum comics)

辣韮の皮―萌えろ!杜の宮高校漫画研究部(6) (Gum comics)

 笑える4コマなら本作でしょうね。腹抱えます。いや本当。
 今まで通り、オタキャラどものドタバタだけなんですがネタがいちいち嫌なツボを突いてくる。こちらもオタクなだけに……。ただしそれだけじゃなくてきちんとキャラものでもある(そしてクオリティが高い)。誰にでも楽しめるよう作られたコメディ4コマでまさに職人技だと思います。どこまでも心地の良い、ある種の理想郷でしょう。



 無理にランキングを作るなら、


1.とよ田みのる「FRIP FLAP」
2.秋★枝純真ミラクル100%
3.若木民喜神のみぞ知るセカイ
4.異識「あっちこっち」
5.鈴城芹家族ゲーム


 かなあ。かなり適当です。あと新刊や昨年になって面白くなったものを特に優先してます。


 昨年も良い漫画をたくさん読むことが出来ました。今年もそういった出会いがあれば……とその前に、昨年買ったのにまだ読んでない残しが40冊くらいあるんですよね。まずはそっちからですか。