第四号超短編感想

 いつの間にか大事?になってた回廊問題。http://d.hatena.ne.jp/sinden/20050420#1113998355ということだそうで、これで気兼ねなく感想が書けるわけですが……。

 とりあえず、超短編作家のはしくれとして、超短編作品の感想ぐらい書かなくては! というわけで書きました。突如としてである調になるけれども、気にしない気にしない(古い)。


秋山真琴「ULTIMATE TRUTH」
 メタ探偵シリーズ読んでないから(ヘリテロ買ってるのに!)よくわからないが、なんかの小説の一場面という印象。超短編である必然性も必要性もない。あ、まさか「TRAIN X TRAIN」のため?

言村律広「THE BOOK」
 やっちゃった、という感じ。美しさから考えても三点リーダは使わないほうが良かったと思う。まあそれ以前に、このネタならもっともっと意外性を持った面白いものに出来るはず。もちろん超短編で。

橘紫陽「I LOVED HER」
 因果関係がなさすぎる。伏線もゼロ。もちろん狙ってやったことだろうが、だからといって認められない。オチが見たことありすぎる風景なのだ。

霧生康平「GRAND FINALE」
 うーん。老王の家族を持ち出す意図が不明。最後の笑みも唐突。いろいろと中途半端な印象。

秋山真琴「TRAIN X TRAIN」
 これはかなり好き。文章が良い。すんなりとイメージ化できるし、何よりある種の雰囲気を持っているのが良い。内容も好み。なぜだかわからないけれど好み。

恵久地健一「CHEAP TRICK
 こちらは全然おもしろくない。スズキトモユさんと真逆である。

六門イサイ「LIKE SCHRODINGER」
 おもしろい。飄々とした筆致が効果的で良い。文章力のある作者さんだと思う。

六門イサイ「SUNSET SONG」
 と思ったらこっちはどうにも下手。「だのに」……?「しかし」の使い方はわざとだろうが、失敗している。内容もまとめきれてない。もっとスマートに出来るはず。

松本雅美「LONG COLOR」
 表現がいちいち気になる。『そのなか、想い出なんて残酷だった。』とか、なんだかなあ。あと細かいけれど?で文章を区切るなら、基本的に一文字空けが必要。最後突如として出てくるヒロにいきなりすがってて笑う。全体的にまだまだ幼い。

総評
 総じて普通すぎる印象。変なこと、他人が思いもよらないようなことをやろうという気迫が薄いかなあと。個人的好みも多分に含まれた意見ですが。あと文章に気を使ってない人が多い。文章は、特に超短編では、それだけで人を引きつける大きな武器になると同時に、それだけで人が敬遠する要素にもなり得るのだから、もっと意識すべきだろうと思う。読んだあとにタイトルがわかるという構成はちょっとおもしろかった。こういう縛りの企画もできそうである。ちなみに個人的ベストは「TRAIN X TRAIN」。次点が「LIKE SCHRODINGER」。


 自分のことは棚に上げて……と自分でも思う。