竹宮ゆゆこ「とらドラ!」(1)
- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2006/03/09
- メディア: 文庫
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「とらドラ!」1巻。そういえば去年中に読み終わっていた、というかきちんと読むのを断念したというか。
個人的に、小説としてどうしても許せない点が2つ。
一つは大河が竜児の部屋に乗り込む説得力に欠ける点、そして作者がそれを自覚していないように見える点。要はこの描き方では竜児が深夜の侵入者を大河だと断定できるわけないよね、ということ。
この展開をやるなら、事前に「大河がほとんど話したこともないクラスメイトの家に深夜に侵入するくらいにブッチギレたキャラである」ことを示すエピソードが絶対的に必要と思う。もしくはこの展開自体をそれに使うか。
一応、大河のオーラがどうこうみたいなエピソードはあるのだが、弱い。だって大河なにもしてないじゃないか。周りも「やべぇ」としか言わないから、具体的にどうやばいのかが伝わってこない。
比較対象として不適切かもしれないが、例えばハルヒの場合、初めに自己紹介のシーンで変人であることを示し、その後中学時代のエピソードを描写することで説得力を持たせている。
こうした手続きがとらドラ!にはない。それが自分には見過ごせない。
二つ目は、大河と竜児が仲良くなる過程が描かれない点。いや一応あるのか。しかし全く足りない。ダイジェスト風にちょこっとだけ語られて、「こんなことがあった結果お互いに必要不可欠なくらい仲良くなりました」と言われても、納得できない。というか、その過程こそを描くのが小説ではないのか。
全体的に、作者が描きたいところだけ描いて、本来必要な描写をサボったのが透けて見えてしまう。言ってしまえば小説未満、プロットの段階に近い。これは作者のせいというより編集者のせいかもしれない。これでGOサイン出すのは駄目だろう。
冒頭の生活描写や終盤の告白シーンそのものはすごく光っているだけに、残念。
でもこれ人気あるんだよなあ。みんな構成とか気にならないのだろうか。反論を聞きたい。