よしながふみ「きのう何食べた? (2)」
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: コミック
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新作です。
並行連載中の「大奥」がシリアスで気の抜けない話なので、その反動かこっちは大変気の抜けた出来。と言ってもけなしているわけではもちろんなく、その気の抜け具合が大変心地良い。
料理が趣味の弁護士と、それをおいしそうに食べる美容師。いい歳した男二人の同棲生活。特に大きな物語もないこの日常には、しかしまぎれもない「小確幸(小さいけど確かな幸せ(c)村上春樹)」が存在している。
よしながふみの描写力はかなり異常で、例えば148ページからの展開のリアリティには圧倒される。そういう細部の描き方がものすごくしっかりしているから、ぶれない。毎話必ず挿入されるしつこいくらいに精密で長い料理シーンを必要と取るか不必要と取るかで評価は変わってきそうだが、とにかく出される料理はおいしそうだ。思わず作ってみたくなる。
昨日の夜、僕はちょっと眠れなくて、そろそろ世の中からフェードアウトしようかなんて考えていたのだけれど(まあ一ヶ月に一度くらいは考える事である)、この大人二人の生活を眺めて救われた気分になる。生きること、そんなに悪くないんじゃないかって思える。それこそがよしながふみの漫画の持つ力である。