きづきあきら『ふたりだけのうた』

ふたりだけのうた (Seed!comics)

ふたりだけのうた (Seed!comics)

 きづきあきらとの最初の出会いはネット上で読んだ『モン・スール』の第1話で、精神をグッサリ切りつける話にすこぶる弱い僕は半日鬱に陥り、もう二度ときづきあきらは読まないようにしようと心に誓ったのでした。
 しかしいくら月日がたっても、何故だかすっぱり忘れ去ることが出来ない。方々で評判は聞いていて、そのせいかとも思うのだけれど、それだけじゃない気もする。たったの二十数ページでそこまでの印象を残すあたり、僕にとっては、良くも悪くもそれだけインパクトのある作家だったのでしょう。
 まあそれでもやっぱり単行本には手を出さずにこれまできたのですが(SEEDで『ヨイコのミライ!』ちらちら読んだりはしてましたが)、きづきあきらの単行本を出版しているぺんぎん書房の倒産で、これからもしかしたら買えなくなってしまうかもしれないことと、ちょうど俺センターで絶賛されていたこともあり、先日のコミティアにて買ってきたのですが(紀伊国屋が出展していたのです)、読んでみて驚嘆。そして後悔。もちろんこの本を読んだことにではなく、今まで読んでこなかったことに。


 6編の作品が収められていますが、作者の持ち味と思われる、読者の心を刺すようなショッキングな展開作りはあまり見られず(いや魔法少女の話とかちょっとヒドイ気もするけれど)、僕にはこれぐらいがちょうどいいかもしれません。どの話を読み終わった時も、心のどこかが救われた気がして僕はドキドキしました。


 ……えーと、前置きの長さの割に感想が短すぎてアレなんですが、まあ、なんですか、他の短編集も早いとこ手に入れたいなと、今はそれだけで(えー)。