秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その4』

 卑怯だよ。
 卑怯で、ずるくて、やさしい小説。


 思春期の少年の強さと弱さが同時に描かれているのが良いですね。
 読んでいる間は呻いていたりするのだけれど、読み終わると、根っこのところでの人間のやさしさを信じる気になれます。
 とても悲しいのに、心の中にあたたかいものが残るのです。


 すべてがあまりにも大切すぎて、感想をきちんとまとめられません。まとめる気すら起こりません。
 ただ、この物語を今この時期に読むことができた幸せにひたるだけです。


 最近泣いてばかりいるなあ……