『蟲師』第1話
僕は原作漫画のファンで、その立場からの視聴です。
非常に原作に忠実に作られているという印象。丁寧に描かれた、美しい映像と蟲たちの軽やかな動きには目を奪われます。
しかし、原作を重視しすぎたことによる弊害があるのも事実です。
『蟲師』は1話完結型の連作短編で、毎回登場する様々な「蟲」の性質を主人公であるギンコが台詞によって説明するのですが、これがアニメでは冗長になってしまっています。漫画のほうでは自分自身で文を読むスピードを変化させることができますが、アニメではそれができません。ゆったりと丁寧に語られる蟲の性質をしっかりと聞かされることになります。
また、映像面においても、美しいのは確かなのですが、原作を読んだ読者が「アニメ化するならこんな感じかな」と想像する範囲内におさまってしまっていて、新鮮な驚きというものがありません。「こうやったのか!」ではなくて「こうしたのね」という感じでしょうか。
まあ、無いものねだりであることは否めません。繰り返しますが、原作ファンとしての立場からの感想であり、おそらく原作を読んだことのない人には、新鮮な世界観を持つ作品と映るでしょう。しかし現時点では、原作を読んだ人が無理をして(深夜3時45分放送ですからね)観る作品とは、僕にはあまり思えません。
あ、でも音楽はすばらしかったです。