佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』

 読まされてしまった。もうやめらんなくて一気読み。

子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る

 やっぱり佐藤友哉はすばらしい。読中の、脳がジェットコースターに乗せられて180キロでぐわんぐわん振り回されるような感覚は、滅多に得られるものじゃない。佐藤友哉を知っている人ならああやっぱりねと思う展開と、それを踏み越えて一歩先へ進む結末。この読後感は、衝撃の一言では言い表せない。表すものか。

 非常に刹那的な結末や、辻褄なんか無視して突っ走る展開など、もっとも痛烈に“今”を表した作品。頭の中を引っ掻き回されたい人は絶対に読むべし。芥川賞は絶対にこの作品に与えるべし。

 佐藤友哉はしっかりと成長しているけれど、やっぱり変わってない部分もあって、例えばひっそりと紛れ込まされた『ラフ・メイカー』(BUMP OF CHICKEN)の歌詞とか(2箇所あったから間違いない)。ほかにもまだあるんだろうな。こういったところは、影を潜めたとはいえ『フリッカー式』のころから変わらないのだなあ。もちろん非難しているわけではないです。『フリッカー式』最高だしね。

(追記)とは書いたけれど、本当にバンプから引用してるかどうか今ひとつ自信がなくなってしまった。「偶然は2回まで」って台詞もあるしねえ。うーん。