愁☆一樹「兄妹はじめました! (4)」(完)
- 作者: 愁☆一樹
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/09/26
- メディア: コミック
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・すごく大切な漫画であればあるほど、どう感想を書いて良いのかわからなくなる。何を書いても魅力の1割も伝わらないとわかりきっているからだが、しかしそれでも、書かねばなるまい。
・いろんな思いが渦巻いている読了直後なので、箇条書き風に雑多に書く。
・ほとんど全ての4コマが、「読者を楽しませること」を一番に考えたエンターテイメントである中、本作は一つ上の段階に行こうとしている。つまりそれは、感情を描くということ。
・人間ってさ、漫画に出てくるみたいな「ツンデレ」とか「シスコン」とか「天真爛漫」とかそういうレッテルで表せるようなものじゃ本当はないよね、人間の感情ってもっとあやふやで曖昧で自分自身ですらわけがわからないくらいごちゃごちゃなものだよね。というあたりまえの(しかしとても大切な)事実を、すごく丹念に丁寧に描き出した漫画。
・ここに描かれている彼ら彼女らは、生きている。実際にものを考え、自分でも説明できない感情に苦悩しながら、毎日の高校生活を愉快に楽しく生きている。楽しい、ということがとても重要。
・みんな生きた人間だからこそ、僕はみんなの感情に共感する。作り物でない感情がじんわり身体にしみこんでくる。
・実は、ラスト付近で泣いてしまった。悲しいことも感動できるような話も全くないから、泣く理由なんてあるわけないのだけれど、最後の最後、萌葱の言葉と顔を見た瞬間に、涙が出た。それまでもずっと泣きそうになりながら読んでいたのだが、ついに、という感じで。涙の出る理由が、僕にはさっぱりわからない。
・わからないからこそ、すばらしい。それを4巻かけて描いた4コマ漫画。
・みんな幸せになってほしいね。